Tchaikovsky:Symphony No.5, Op.64
(コメント):チャイコフスキーの交響曲第5番ホ短調 作品64は、彼の円熟期にあたる1888年に作曲された壮大で感情豊かな作品で、彼の「後期三大交響曲」のひとつとして広く知られています。
🎼 概要と背景
- 作曲年:1888年(交響曲第4番から約10年後)
- 構成:全4楽章、演奏時間は約40〜45分
- 特徴:全楽章を通して「運命の主題」が繰り返し登場し、作品全体に統一感を与えています
- 初演:チャイコフスキー自身の指揮で行われたが、当初は批評家からの評価は芳しくなかった
🎵 各楽章の特徴
第1楽章:Andante – Allegro con anima
- クラリネットによる暗く重い「運命の主題」で開始
- 行進曲風の力強い第1主題と、弦楽器による美しい第2主題が展開
- 緊張感とドラマ性が高く、チャイコフスキーらしい情熱的な構成
第2楽章:Andante cantabile, con alcuna licenza
- ホルンのロマンティックなソロが印象的
- 甘美で叙情的な旋律が展開される中、突然「運命の主題」が力強く再登場
- 内省的で感情の深みを感じさせる楽章
第3楽章:Valse – Allegro moderato
- スケルツォの代わりに優雅なワルツが採用されている
- 軽快で流麗な旋律の中に、さりげなく「運命の主題」が顔を覗かせる
- チャイコフスキー特有の舞曲的な美しさが光る
第4楽章:Finale – Andante maestoso – Allegro vivace
- 「運命の主題」が勝利を象徴するように輝かしく再登場
- 力強く壮大なフィナーレへと向かい、全体を締めくくる
- ベートーヴェンの第5交響曲を思わせる構造的な勝利の物語
🎻 聴きどころと技術的な魅力
- 管楽器の役割:特にトランペットとホルンが重要な役割を果たし、音量やスタミナが求められる場面が多い
- 打楽器:ティンパニのみというシンプルな編成ながら、劇的な効果を生み出している
- 旋律の展開:一つの主題が楽章ごとに姿を変え、感情の変化を巧みに表現
🏆 名盤の一例(参考)
指揮者 | オーケストラ |
---|---|
小澤征爾 | ベルリン・フィル |
ムラヴィンスキー | レニングラード・フィル |
ドゥダメル | シモン・ボリバル響 |
カラヤン | ベルリン・フィル |
この交響曲は、チャイコフスキーが「運命」にどう向き合うかを音楽で描いたとも言われています。
【ドラマ10】日越外交関係樹立50周年記念ドラマ「ベトナムのひびき」
Views: 2