ダブルドミナント(Double Dominant)は、和声学や音楽理論における概念で、属七の和音(ドミナント・セブンス・コード)の属七の和音のことを指します。
言葉だけだと少し分かりにくいので、具体的に見ていきましょう。
基本的な考え方
ドミナント・セブンスとは、ある調の**5度(属音)**上に構築される属七の和音のことです。たとえば、ハ長調(Cメジャー)の場合、5度上の音は「ソ(G)」なので、G7(G-B-D-F)がドミナント・セブンスとなります。このG7は、ハ長調の主和音であるCメジャーへ解決しようとする強い性質を持っています。
ダブルドミナントの仕組み
ダブルドミナントは、このドミナント・セブンスのさらに5度上にある属七の和音です。
ハ長調(Cメジャー)を例に考えてみましょう。
- 解決先: Cメジャーの主和音(I)
- ドミナント: Cメジャーの5度上はGなので、G7(V7)がドミナントです。
- ダブルドミナント: このG7の5度上はDなので、D7がダブルドミナントとなります。
つまり、D7 → G7 → C という進行は、ダブルドミナントがドミナントへ、そしてドミナントが主和音へ解決するという連鎖的な流れを作ります。この進行は、属七の和音の連鎖として、曲に強い推進力や緊張感を与えます。
なぜ「ダブル」ドミナントと呼ぶのか?
「ダブル(二重の)」という名前は、「属和音の属和音」、または**「主和音へ向かうドミナントへ向かうドミナント」**という二重の解決構造を持つことから来ています。
このダブルドミナントは、ジャズやクラシック音楽でよく使われ、特に調性を明確にしたり、次のコードへの期待感を高めたりするのに非常に効果的です。
和音進行で言うと、IIm7 – V7 – I(ツーファイブワン)という基本的な進行がありますが、ダブルドミナントを使うと II7 – V7 – I のように変化させることもでき、より洗練された響きを作ることができます。
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