🎼 セカンダリ・ドミナント(Secondary Dominant)とは、音楽理論におけるコード進行のテクニックのひとつで、「一時的に別のコードを主音(トニック)と見立てて、そのコードに向かうドミナントコードを挿入する」方法です。これにより、コード進行に緊張感や色彩感を加えることができます。
🔍 基本の考え方
- 通常、**ドミナント(V7)**はトニック(I)に向かう性質を持ちます。
- セカンダリドミナントでは、I以外のコードを一時的なトニックと見立てて、そのコードに向かうV7を使います。
- これにより、非ダイアトニックコード(元のキーに属さないコード)を自然に挿入できます。
🎹 例:キーCメジャーの場合
対象コード | 一時的トニック | セカンダリドミナント |
---|---|---|
Dm(Ⅱm) | D | A7(V7/Ⅱm) |
Em(Ⅲm) | E | B7(V7/Ⅲm) |
F(Ⅳ) | F | C7(V7/Ⅳ) |
G(Ⅴ) | G | D7(V7/Ⅴ) |
Am(Ⅵm) | A | E7(V7/Ⅵm) |
※「V7/〇」は「〇に向かうドミナントセブンスコード」を意味します。
✨ 効果と使い方
- コード進行にドラマ性を加える:単調な進行に変化をつける。
- 転調の導入にも使える:一時的な調性感を作る。
- ジャズやポップスで頻出:例:C → E7 → Am(E7はAmへのセカンダリドミナント)
🧠 応用ポイント
- セカンダリドミナントはダイアトニックコードに対してのみ使える。
- VII(例:Bm7♭5など)には通常使えない。
- 一時的なトニックに向かうⅤ7コードを挿入することで、自然な流れを作れる。
🎼 Dメジャーキーにおけるセカンダリ・ドミナントは、Dメジャースケール内の各コードに一時的にドミナント(V7)を設定することで、より豊かなコード進行を作るテクニックです。
🔍 Dメジャーのダイアトニックコード一覧
度数 | コード | 機能 |
---|---|---|
I | D | トニック |
ii | Em | サブドミナント |
iii | F♯m | メディアント |
IV | G | サブドミナント |
V | A | ドミナント |
vi | Bm | トニック代理 |
vii° | C♯dim | リーディング |
🎯 セカンダリ・ドミナント一覧(Dメジャー)
対象コード | 一時的トニック | セカンダリドミナント | 表記例 |
---|---|---|---|
Em(ii) | E | B7 | V7/ii |
F♯m(iii) | F♯ | C♯7 | V7/iii |
G(IV) | G | D7 | V7/IV |
A(V) | A | E7 | V7/V |
Bm(vi) | B | F♯7 | V7/vi |
※C♯dim(vii°)は減三和音のため、通常セカンダリドミナントは設定しません。
🎹 実例進行(Dメジャー)
D → E7 → A → D(E7はAへのセカンダリドミナント)
D → B7 → Em → A → D(B7はEmへのセカンダリドミナント)
これらの進行は、一時的な転調感や緊張感を生み出し、特にポップスやジャズ、映画音楽などでよく使われます。
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