エナ・カラヴィ・アポ・ティ・ヒオ Ένα καράβι από τη Χιό A Ship from Chios
(ステップ・動作):
(コメント):ギリシャのダンス曲「エナ・カラヴィ・アポ・ティ・ヒオ」(Ένα καράβι από τη Χίο)は、エーゲ海東部に浮かぶヒオス島に伝わる伝統的な民謡であり、フォークダンスの曲です。文字通りには「ヒオス島から来た一隻の船」という意味です。この曲は「ヒオティコス」(Χιώτικος)と呼ばれるヒオス島の踊りのスタイルで踊られます。
歌詞の内容
歌詞は、ヒオス島から来た船がサモス島に立ち寄り、そこで「キス(φιλί – フィリ)」の値段を計算するという内容です。歌詞のバリエーションはいくつか存在しますが、一般的には以下のようなテーマが歌われます。
- ヒオス島から来た船とその船乗りたち。
- 船がサモス島に到着し、そこでキスの「市場価値」を問い始めます。
- キスの値段は相手の女性の状況によって異なります。既婚女性のキスはいくら、未亡人のキスはいくら、そして未婚の(自由な)女性のキスは安価で、冗談半分で手に入るが、一度キスをすると彼女はすぐに別の喜びを求めて去ってしまう、といった内容がユーモラスに、あるいは皮肉っぽく語られます。
ダンスの特徴
「エナ・カラヴィ・アポ・ティ・ヒオ」で踊られるヒオティコスには、以下のような特徴があります。
- 形式: 男女が手をつなぎ、開いた円(オープンサークル)または半円を形成して踊ります。踊り手は円の中心を向きます。
- リズム: 曲のリズムは通常、均等で規則正しいものです。
- ステップ: 一般的に6つの基本ステップで構成されると言われています。ダンスは2つのパートに分かれることがあります。
- スローパート: ゆったりとした滑らかな動きで、「トラタ」(Τράτα)と呼ばれる、足を交互にゆっくりと踏み出すステップが用いられることがあります。
- ジャンピングパート: より活気があり、跳ねるようなステップが含まれることがあります。
- 手のつなぎ方: 手のつなぎ方にはいくつかのバリエーションがあり、隣の人と腕を鎖のように交差させてつなぐ方法(σταυροειδώς σαν αλυσίδα – スタヴロイドス・サン・アリシダ)や、お互いの肩に手を高く置く方法などがあります。
- 地域性: ヒオス島の踊りとして、地域の伝統や習慣を反映しています。
文化的背景
この歌と踊りは、ギリシャの島々の生活、特に船乗り文化や男女間の機知に富んだやり取りを反映していると考えられます。ギリシャのフォークダンスは、地域の歴史や社会、日々の暮らしと深く結びついており、「エナ・カラヴィ・アポ・ティ・ヒオ」もその一つとして、結婚式やお祭りなどの楽しい集まりの場で踊り継がれています。
この曲は、グリケリア(Γλυκερία)をはじめとする多くのギリシャの歌手によって歌われ、親しまれています。YouTubeなどの動画サイトでは、実際の歌唱やダンスのパフォーマンスを見ることができます。
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